音を出すことと暮らすこと【人は音と共存して生きている】
「ペット不可」「ピアノ不可」等、日本の住環境では音を出すことはタブーとされている。
都心では窓を開ければ車の音、マフラーを改造しただけのけたたましいバイクの音、これらの方がよっぽどうるさいだろうに、室内の音については厳しく制限されています。
しかし我々の生活に、音は密接に関わっている。
「子供達のはしゃぐ声」「朝ごはんを作る台所の音」「夕方聞こえてくる、夕焼けチャイム」「携帯電話の着信音」「目覚まし時計」「テレビの音」
音がなければめちゃくちゃ不便だし、音が出ないように暮らすことの方が違和感があるでしょう。
しかし、それら生活音ですら立場が違えば騒音になってしまう。どうしてでしょうか?
自分の音はOK、他人の音はNG
人は自分が出す音は気にならないが、他人が出す音は気になるものです。
このように書くと「私はそんなにエゴイストではない!自分が出す音も気にする!」とお叱りを受けてしまいそうですが、この場合の「気になるor気にならない」の主体は音を出している自分です。
自分で黒板を引っ掻くような気持ち悪い音でないかぎり、「自分の生活音がうるさくて生活出来ない!」と思う人はいないでしょう。
音大生と僕の話
遠い昔、私がとある合宿所でサックスの練習をしていた時の話です。
その合宿所はスキー場のペンションなのですが夏休みシーズンには、音楽関係の団体の合宿場として大賑わいでした。その頃僕は、サックスの虫で、全体練習が終わると、黙々と深夜まで一人、練習室にこもって練習していました。
忘れもしません、その時練習していた曲は「フォー・ブラザーズ」
Woody Herman – FOUR BROTHERS
(余談ですが、このメンバーの一人ってスタン・ゲッツだったんですねー。)
まあ、聞いていただいたらわかるように、オープニングのサックスのフレーズがちょっと難しいんです。その頃の僕には超難解だったこのフレーズをひたすら練習していました。
練習を初めて1時間くらいすると、一人の音大生(フルート)の女の子が練習室に入ってきました。
音大生「あれ、、、ここ予約したと思うのですが・・・。」
私「え!?僕、、、使っていいって言われているんですが・・・。」
音大生「私もここの部屋使っていいですか?」
私「あ、はい。どうぞ。」
何も気にしていない僕はその後、フォー・ブラザーズの冒頭8小節くらいを、永遠と1時間半くらい休みもせずメトロノームに向かい練習し続け・・・・・この状況、後から聞くと、音大生からしたらありえない状況だったらしいです。笑
というのも、音大で練習する時には他人と音が混ざらないように、個別の練習室で練習するそうです。
吹奏楽部あがりの学生の僕は、他人がいようがお構い無く、自分の音が聞こえなければもっと大きく吹くことで解決してきたのです。笑
ましてや相手はフルート、こちらはサックスです。当然、彼女の練習は全く進まなかったことでしょう 笑
他人の音は騒音だけど仲間の音は?
何も知らなかった私、かなり迷惑をかけてしまったでしょうが、あの頃の大所帯のバンドを思い出して感じた事があります。
それは、「一緒に演奏する合奏ならば、アリ」ということです。合奏はみんなで本番に向け一つの目標を持ち、同じベクトルで進んで練習します。その時、全体が一つになるから騒音にならないのでしょう。
住環境を考える時に「全ての人が満足するようにデザインする」ことは難しく、「住み分け」するということを考えます。例えばそれを音楽で分けるならば「音を出したい人」と「それ以外の人」で分けることになります。
「音を出したい人」と「それ以外の人」でわければ、当然「それ以外の人」のほうが多くなります。そこで「住み分ける」という考えになるのでしょうが、僕はこれに納得がいきません。笑
「住み分け」は、「ダメだから出てってくれ」と言われて、仕方なく集まっているように感じるのです。
生活する場所ですから「住み分け」ではなく、合奏のように「同じベクトルの持ち主同士を集める」方が絶対にいいに決まっています。
例えばこれを楽器演奏者ではなく、子供がいる家族だとしましょう。
いくつかの賃貸物件の場合、「子供が走り回るから、小さい子供がいる家族はNG」ということを言われます。そして、「小さい子供がいるなら、1Fであれば、いいですよ」と言われ、仕方なく1階に住む。
例えば、夜型の仕事をされている方だとしましょう。
「この物件は、ファミリーが多いから夜型の仕事をされている方はちょっと・・・」と言われて断れれてしまう。「夜間に洗濯機をまわせず、暮らしづらい」。巡り巡って、あまり望んでいない部屋に妥協して入居する。
このように探しまわったあげく、似たような環境を持つ人達が集まった場所を見つけ、やっと入居出来るようになるのでしょうが、これでは望み通りのライフスタイルが実現できる環境とは思えません。
全ての人を幸せにすることは出来ないとしてもマンション1棟で考えれば30世帯程、30世帯の「同じベクトル」を持つ人を集めて、その為の住環境を整えるという方が皆が幸せになれるのではないでしょうか。
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「スペックというフィルターの外にある物件を一緒に探して欲しい。」
「自分だけの部屋を一緒に見つけて欲しい」
そうお考えの方、是非、私どもまでご連絡下さい。
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