買った家が小さくなる!?空き家問題で中古物件が市場に出回った時の話
昨日は日本の「空き家問題」によって起こりうる問題をいくつかの角度からご紹介しました。(ブログ:日本で起きてる空き家問題って何がヤバイの?)
本日は、空き家問題で中古物件が市場に出回った時のセットバックの話をしたいと思います。
中古住宅を購入したスミダさんの話
ここでは架空のケースをお話しましょう。
<登場人物>
不動産屋のイエウリさん、不動産を購入するスミダさん夫婦
イエウリ「こちらの物件はいかがですか?150㎡の土地と120㎡の建物が付いて2000万円です!」
スミダ「ふむふむ、私たち夫婦にぴったりだ!建物は住んでもいいし、古いから少し住んだ後で建て替えてもいいな!夢の田舎暮らしだ!」
イエウリ「この土地は前面道路が3mしかなく42条2項道路なので、道路中心線から2mのセットバックがあります。そのため50cm敷地を後退する必要がありますが良いですか?」
スミダ「わかりました、(50cmくらい、いいよな。。。)契約します!」
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こうしてスミダさんは建築基準法42条2項道路に面した120㎡の古家付きの土地150㎡(容積率80%)の売買契約を締結しました。
(前面道路側幅10m、奥行き15mの土地とする)
そうだ、古い家を建て替えよう!しかし、、、、
購入を決意したスミダさん、やっぱり建物は建て替えたいと思い、知り合いの大工の棟梁さんに相談しました。
スミダ「棟梁さん、家を買ったんだけど、古い建物を建て替えたいんだ!大きさは同じ120㎡もあれば十分だよ!」
棟梁「おう、まかせとけ!ちょっと図面を見せてくれ!」
スミダ「はい、どうぞ!(図面を渡す)」
・・・・・・・・・・・・
棟梁「・・・オメェさん、こりゃセットバックがあるから120㎡は建たねぇぜ。」
スミダ「えっ。。。えぇぇぇ~!どういうことですか?!」
買った家が小さくなる!?
スミダ「棟梁ーどういうことですか!?家が小さくなるって!!」
棟梁「オメェさん、不動産屋からセットバックがあるって聞かなかったのか?」
スミダ「、、、聞きました、50cm敷地を下げなきゃならないって言ってました。」
棟梁「そういうこった!今回の場合幅10mの敷地が道路に接していて、それが50cm下がるわけだから、5㎡がセットバックするんだ」
棟梁「だから敷地は145㎡になる。その容積率80%だから、最大でも116㎡しか建たねぇぜ、こりゃあ。」
スミダ「ううぅ。。。。そうなんですか。。。(涙)」
建築基準法42条2項道路とは?
建築基準法では、原則として建物を建てるためには敷地は幅員4m以上の道路に接している必要があるとしています。(接道義務)
古い建物を購入した場合、4m未満の道に接していることも多々あります。そういった建物を購入した場合、建築確認が下りず、建替え不可となってしまいます。しかし、2項道路は、道路の中心線から水平距離2m後退(セットバック)させることによって、本来建て替えることが出来ない建物の建替えを認めているのです。
ただし、、、
ただし、建築基準法42条2項道路は「みなし道路」と呼ばれ、セットバックをされた部分は道路とみなされます。みなし道路には建物はもちろん塀なども造ることは出来ず、敷地としても認められないことから、建替え時の建物に影響があります。
上記の例では、
150㎡(土地)✕80%(容積率)
=120㎡(建物)
であったものが、セットバックが入ると
(150㎡(土地)−5㎡(セットバック))✕80%(容積率)
=116㎡(建物)
と4㎡も小さくなってしまうのです。
中古住宅を購入する時にはご注意を!
今後、空き家問題を解決するために空き家対策特別措置法が完全施行されます。それに伴い、多くの中古住宅が手放され市場に出回ることでしょう。
深く考えず購入してしまい、再建築するときに困ってしまうことの無いよう、よく注意して物件を見ていくことが大切です。
判断にお困りの際にはお気軽にお問い合わせ下さい。