【入居者向け食堂トーコーキッチンの美味しい話】

淵野辺駅北口徒歩2分の場所には、ちょっと変わった食堂「トーコーキッチン」があります。

こちらの食堂を運営しているのは東郊住宅社という不動産屋さん。不動産屋さんがレストラン事業を手掛けたのか?そうではありません。

トーコーキッチンはお部屋のカードキーで扉が開く「入居者向け食堂」なのです。

 

トーコーキッチン

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トーコーキッチンは駅から少し歩くと商店街の中に突如現れます。お世辞にも人通りが良い場所とは言えません。周りに飲食店がたくさんあるわけでもありません。

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外に出ているのはポストとこの看板だけ。

食堂だということはわかるし、ガラス張りの店内で食事をしている人もいます。

ドキドキしながら扉をあけようとするのですが、、、開かない。笑

そう、ここは東郊住宅社さんが管理する物件の入居者さんが持つ鍵が無いと入れない食堂だからです。今日はトーコーキッチンを考えた東郊住宅社の池田さんのお話を聞きながら、実際にトーコーキッチンを利用させていただきました。

 

入店。

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13時頃来たことと、近所の学校がお休みということもあってか、この時点ではお客さまはいませんでした。

シンプルな内装だけれどどこか温かみを感じる雰囲気。照明の色あいやガラス張りの入り口のおかげなのでしょうか。

 

何よりも一番最初に飛び込んでくるのは美味しそうな匂い。

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厨房ではせっせとスタッフの方が仕込みをしています。

こちらのシステムはセルフオーダーシステム。

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カゴに置かれたオーダー票を取り、食べたい物に丸を付けます。

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 朝ごはんは100円、昼ごはんと夜ごはんは500円

値段とルールは至ってシンプルです。

 

スタッフの方にオーダー票を渡してお支払い。(※この日は池田さんにご馳走になってしまいました※池田さん、ご馳走様です!!)

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すると、、、机に置かれた動物を渡されます。笑

こちらでは出来上がった時に動物で呼ばれます。

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私はライオンさんでした。

 

出来上がるまで数分間、店内を散策。

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地域の福祉施設の方がクッキーを焼いていて、トーコーキッチンさんでは100円で仕入れて100円で売っているそうです。素晴らしい!

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あまりに僕が眺めていたから?こちらも買っていただいちゃいました。。。すみません。。。(池田さんご馳走様です、帰り道で食べちゃいました。笑 美味かったです。)

 

ランチが出来ました!

そうこうしているうちに、注文したランチが完成。

本日の定食はこちら

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ほうれん草のおひたし、白菜の小鉢、超具だくさんの豚汁、五穀米

メインは豚肉のミルフィーユ(肉じゃがを豚肉で巻いた感じ。)

驚くなかれ、これで500円なのです。

 

池田さんが注文したのはこちらの生姜焼き丼

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ご飯たっぷり超ボリューミーなこちらも500円

 

500円って安くて良いね、だけじゃダメなんですよ」と語る池田さんの言葉を聞きながら、さっそく一口。。。

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美味い。

大変、美味い。

決して、ごちそうになったり、クッキーを頂いたから言っている訳ではなく美味い。この味の食堂を見つけたら当たり。勝ち組。仲間に是非教えたくなっちゃうレベルです。

毎日食べても大丈夫なようにTANITAの機械で測定して料理を作って出しているという定食は、安いからと言って決して安かろう悪かろうではない。大変、美味いです。

 

料理の感想をもっとお伝えしても良かったのですが、きっとそれはトーコーキッチンに足を運んでいただくのが一番だと思います。なにせ食べればわかります。

現に、私が食べてる間にも続々とお客さんがいらっしゃるんです。リピーターの人はいつも通りの感じで、初めての人は鍵の掛かった扉を一度引いてみて。。。笑

トーコーキッチンは初めての来店のときには誰でも利用出来るとのこと。2回目以降は「鍵を持っている人見つけて一緒に来て下さいねー!」というシステム。鍵をもった入居者1人いれば、何人でも利用できるのだ。

 

こだわりのコーヒーをいただきながら

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食後、ゼブラコーヒー(http://zebra-coffee.com/)というお店から仕入れて販売しているというこだわりのコーヒーを頂きながら、池田さんからお話を伺いました。

すべては入居者の方に喜んでもらうために

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こちらのメニューは当初スタート時のメニュー。

朝ごはん100円、昼ごはん500円、夜ごはん700円となっています。

現在は夜ごはんも500円です。どうして200円の値引きをしたのかを池田さんに尋ねると、「学生さんにとっては700円といったら結構な金額。ラーメンも食べられるし、選択肢がいっぱいあります。トーコーキッチンを利用しやすく、「選んでもらうために」500円にしました」とのお答えが。

普通、飲食店ならば値段を30%下げると言ったら大問題ですが、トーコーキッチンでは「売上をあげる」ことが第一ではなく「入居者の方の満足」が第一なので、その選択が出来てしまう。

 

手間や知恵はお金かからない

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(写真はトーコーキッチンに敷かれたタイル。東郊住宅社さんのロゴマークをイメージして作られたもの。「ここが一番お金かかった」そうです。笑)

池田さんのお話で印象的だったのは「自分の手間や知恵を出して行ったことは特別なお金を取ることでは無い」ということでした。

仕事をして対価をいただくのに、その「仕事」に対してつぎ込んだ時間や手間、知恵というのは当然のことで、それらから「独自の仕事」が生まれるのだと言います。

「この仕事は手間が掛かっちゃうから、割に合わない、止めよう」その選択は池田さんには無いのでしょう。

 

地域に根づいたの不動産屋として働くということ

僕にとって池田さんは不動産の知識も経験もたくさん持った大先輩なわけですが、唯一共通しているところは「町の不動産屋」だということです。

こういう言い方をすると、高額物件をバリバリ仲介している都心の不動産屋さんには馬鹿にされることもありますが、、、笑 僕は町の不動産屋さんという仕事に誇りを持っています。

町の活性化、人々が楽しく暮らせる仕組みづくりは、町の不動産屋さんの頑張り次第でいくらでも活気づくのだと思うのです。

 

今回、お話を聞いている間にも、とある男女二人組が入店してきました。

池田さんは、二人組の一方の女性を知っていたようで声を掛けてらっしゃいました。

楽しそうに談笑してらした為、「入居者の方ですか?」と私が尋ねると、、、

池田さん「いえいえ、彼女の方は入居者じゃないんです!」

私「え?じゃあなんで入ってきたんですか?」

池田さん「先日トーコーキッチンに初めていらっしゃって、次来る時は、鍵持っている人捕まえておいでーって言ったんです。

私「え!それでそちらの男性と一緒に!?」

池田さん「そうみたいです、入居者の男性は初めて来店していただいたようですが。(^^)

・・・

ものすごい展開ですよね、これ。普通じゃ考えられない。

今回の例で言えば、女性は入居者である男性、まさしくキーマンを自ら見つけて来店している。

トーコーキッチンは、入居者専用というクローズドな扉で閉ざしているにも関わらず、人々はその場所に入りたくなって、その閉ざされた扉の先で交流が生まれている。しかも町に住む他の物件の住人も巻き込んで!

当初は入居者の為で始めたことは、自然に広がって大きくなっているんですね。

 

最後の質問

最後に池田さんに対して、僕はこんな質問をしました。

「例えばシェアハウス。共有スペースを充実させて、家賃も安くて、って流行っていますが、ずばりシェアハウスとトーコーキッチンの違いってなんですか?」

池田さんは「初めて聞かれたよー」とおっしゃっていましたが、

  • シェアハウスは日本人文化に完全にマッチしているとは言えないのではないか
  • シェアハウスは場の提供をしているが、使い方の提案まではしていない
  • トーコーキッチンは場と使い方(暮らし方)の提案もしている
  • 使い方の提案=ファシリテーターは東郊住宅社である

といったことをお話して下さいました。

それを受けて考えてみると、住む人(隣人)によって価値が変わってしまうことや、場を提供して完了させてしまうシェアハウスの仕組みの危うさを感じました。何よりも数値化されたスペックで判断されるようなシェアハウスでは、結局そこでの生活を求めるのではなく、より良い設備を追い求める結果になるでしょう。

 

 

結局は、覚悟。

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入居者の為を思えば、また物件管理を預けてくれているオーナーのことを思えば、トーコーキッチンのような仕組みを作ることは大変良い選択だと思います。

どんな不動産屋に聞いても「いいね」になると思います。

けど、そう簡単に出来ることでは無いでしょう。良いと分かっていても出来ない。

 

何故なら、覚悟が必要だから。

 

東郊住宅社さんはテナントを借り、設備投資をし、初めてでどうなるかわからない朝食100円のお店をOPENさせたわけです。そんなことをしなくても、入居者やオーナーは満足していたかもしれません、けど、挑戦をしました。

この覚悟が出来る不動産屋は世の中にどれくらいあるでしょうか?

お客さまのことを本当に考えていると言い切れる不動産屋は雀の涙ほどですが、この覚悟をした東郊住宅社さんは間違いなくお客さまのことを考えている不動産屋さんです。

 

何もしなくても今のままでいれば大丈夫、どうやったら儲けられるかがスタートとなっている市場で、この覚悟と選択が出来れば、唯一無二です。真似出来ない。

そして「手間はタダ」と考えてしまう池田さんがいるわけですから、これからもこの町は楽しくなっていくのだろうなとワクワクさせられてしまいます。

板橋の不動産屋も、負けてはいられません。面白くて自慢の街にしたいですね!

 

池田さん、東郊住宅社の皆様、トーコーキッチンの方々、今回はご案内してくださって、本当にありがとうございました。

 

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2 Responses to “【入居者向け食堂トーコーキッチンの美味しい話】

  • トーコーキッチン行かれたんですね。池田さん、なかなか凄い方ですよね。
    たまたま池田さんと出会う機会があり、トーコーキッチンOPEN時にお呼ばれしました。
    2016年グッドデザイン特別賞を受賞されたこともうなずけます。
    http://www.g-mark.org/award/describe/44478
    今後の展開が楽しみですね。

    • HEAD研究会でのご縁で仲良くしていただいたことがあり、訪問させていただきました。初めて池田さんとお会いした時に淵野辺の不動産屋さんと聞いてビックリ。淵野辺は第二の我が家なので。
      谷田さんと池田さんもお知り合いということをその後知ってまたビックリ。出会いって不思議なものですね。

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