サブリースがローン危機と呼ばれない為に【サブリースとサブプライム】
2015年相続税改正、課税対象が広がったことを機に急増したアパート融資、アパートの過剰供給、地方人口の減少、空室率増加、不安を解消するために始まったサブリース(家賃保証)、と思いきや「聞いていた話が違う!」と問題となってしまったサブリース(家賃保証)これが最近の流れ。
なんだか似てるなーと思ってしまうのが、アメリカ サブプライムローン問題。あっちが映画になったくらいだから、こっちも映画になりそうだなと。もちろん「ローン危機」なんて自体にはなって欲しくはありませんが。
でも、、、なっちゃうかも。この問題を、超簡単に説明していきます。
サブプライムローン問題を超簡単に説明する
2001年頃のアメリカ、住宅バブル真っ只中のこの時期。不動産の値段はいつまでも値上がりし続けちゃうんじゃない?と考えた人がいました。
不動産の価値は上がり続けるんであれば、今ローン組んで所有して、仮に支払いが滞ってもその不動産売ってしまえばOKだよね?と考えたわけです。
どう考えても危ない思想なんですが、、、このおかしな発想はさらに発展して、そもそも不動産の価値があるんだから「普通だったらローンを組めない人にも貸しちゃおうか!」と考えたわけです。
そんな危険な人に誰がお金貸すの??というところですが、これを証券化して投資対象にします。キーワードは「高金利+不動産担保」。通常であればローンを組めない人が対象ですから、ローンは高金利になります。そこに住宅バブルの不動産担保が乗るから安心ということなのですが、さらにこのサブプライムローンを証券化させて投資家の投資対象としたのです。
この時点でもうよくわからないという人もたくさんいると思います。複雑ですよね。ここで問題なのは「リスクを理解せずに進んでいる」ということです。
サブリース問題を超簡単に説明する
2015年相続税改正が起きました。これにより、課税対象が広がった為、相続税対策をする層が増えます。これを機に急増したのがアパート融資です。
これまで不動産投資とは縁のなかった一般の人がアパートを建築する為に銀行から融資を受け、アパート・マンションを建築します。
地方人口の減少、少子高齢化という話はここ10年ほどずーっと言われてきた話です。そんな中で皆がアパートを建築すれば、アパートの過剰供給が起き空室率が増加します。空室率増加ということはローンの支払が出来なくるということです。
そこにきて不安を解消するために始まったのがサブリース(家賃保証)です。家賃の支払いを保証するのでローン支払いが滞ることはありませんよ!という謳い文句がサブリースです。住む人が減っているのに、部屋数は増えて、どうやって家賃を保証するんでしょう?そんなオーナーに都合の良いことをしてくれる会社があるなんて、慈善事業でしょうか。。。いいえ、これは当然ビジネスなんです。儲かるからやっていることです。(最近はそうでも無さそうですが)
不動産業者と契約するのは、これまで不動産投資をしたことのない一般の方ですから、細かい契約まで理解することは出来ないでしょう。ここが問題です。
ずっと定額で支払われると思っていた家賃は数年ごとに見直しされたり、メンテナンス費用が別にかかったり。契約書には当然書いてあるのでしょうが、説明が足らなかったり(そもそもしてなかったり)、よく理解していないため「聞いていた話が違う!」と問題となるのです。これが最近話題となっているサブリース(家賃保証)問題です。
サブプライム問題とサブリース問題
アメリカで起きたサブプライム危機と日本で起き始めたサブリース問題。全く違う内容に見えますが、「不動産リスクを理解していない」というところに共通の大きな問題があると思います。
一番厄介なのは、お金を借りている当事者(不動産所有者)が、一番の情報弱者であるという点です。
また、私は不動産を所有する動機というのはとても大切だと思っています。相続税対策を理由にスタートするというのは、きっかけの一つに過ぎず、動機というには不十分だと思うのです。ローンを組むということはとても長い道のりです、ましてやアパートローンというのは新しい事業に挑戦するということですから、住宅ローンと同じ覚悟ではなりません。
新しいビジネスを始めるのに、誰かの敷いたレールの上を理解もせずに走るというのは危険だと思うのです。僕はサブリースだから安心ということはなく、そういう安心を余分にお金で買っているのだと考えるくらいで丁度いいと考えています。当然、サブリースを受ける不動産業者も、儲からなければやりませんからね。
最後にちょっと気になる記事
2017/04/23 日本経済新聞 朝刊 1ページ
相続税対策を背景に拡大している賃貸アパート向けの融資で、一部の大手地銀が顧客を建築業者に紹介する見返りに手数料を受け取っていることが金融庁の調べで分かった。請負金額の最大3%に上り、請負額が増えるほど銀行の実入りが増える。建築費を低く抑えたい顧客との間で利益相反が生じる懸念があり金融庁は顧客本位の原則に沿って是正を促す方針だ。
アパート融資(3面きょうのことば)は2015年の相続税制の改正で課税対象が広がったのを機に全国で需要が急増。16年中の同融資額は前年を2割上回る3兆8000億円と過去最高を更新した。地方を中心に人口減が加速するなかアパートの過剰供給で空室率が上昇。家賃保証をめぐるトラブルも増えている。
金融庁は16年末から融資を伸ばしている地銀12行を対象に融資実態調査を進めてきた。一部地銀はアパートの建築から家賃徴収などの業務を一括して請け負う業者と顧客紹介の契約を締結。銀行が節税ニーズのある顧客を請負業者に紹介する見返りに、手数料を受け取っている実態が浮かび上がった。
アパートの建築費に請負業者の利益を上乗せした建築請負金額の0・5~3%程度が手数料の相場だという。請負金額が4000万円なら、銀行は最大100万円を超える手数料を受け取ることになる。こうした追加コストは事実上、建築費に上乗せされ、最終的に顧客の負担が増えている可能性がある。
情報格差の大きい部分です、一番の弱者である一般の方が大きい組織・業界に吸い取られていくのは見たくないですね。当然、仕事に対する対価というのは必要だと思いますが、閉鎖された空間で選択の余地がないのを良い事にビジネスをするというのは美しくないです。
今後日本が、「アパートローンを皮切りとしたサブリース危機」なんて事態にならないことを願っています。
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