【不動産の空室(相続)・事業の後継者問題は身近な問題だな…】
「空き家が増えちゃって、これからは大変」
不動産業界ではこんな話がここ数年ずーっとされています。
日経新聞に掲載されていた記事を読んで、人口が減っているんだから空き家が増えているってことは、そもそも相続する人も減っているんだよな。なんて考えてみたら、気軽に相続できないものって他にもあるよな、と考えを巡らせます。
不動産の空室問題
すごく簡単に言えば、現在の空き家問題は需要と供給のバランスが崩れていることによります。
人間には寿命があるので、赤ちゃんが生まれなければ原則として日本の人口は増えません。不動産は当然人が利用しなければ空き家になってしまうので人口が増えなければ、空き家が増えていきます。
そこに加えて、相続税対策としてマンション/アパート建築が爆発的に増え、世の中には新築物件が増えたわけです。先に述べたように、利用する人がいなければ新築物件だろうが空き家には変わりないのです。
2017/07/17 日本経済新聞 朝刊 27ページ
◆「全国の土地の2割で所有者が不明」。増田寛也・元総務相を座長とする民間の研究会がこんな推計を公表した。山林や農地だけでなく、宅地も少なくないそうだ。管理の手間などから相続登記をしない不動産が多いといわれる。法務省の調査では、大都市以外では、最後の登記から50年以上経っている土地が26%もあるという。
<中略>
◆中小企業の事業もその1つ。日本政策金融公庫の調査によると、後継者が決まっている中小企業は1割あまりにすぎない。都内のある中堅企業の会長は「10年かけて事業を引き継いだ」と打ち明ける。それほど時間のかかることのようだが、経営者が70歳以上でも後継者が決まっているのは2割以下だという。
◆中小企業では資金を借りる際に経営者が個人保証していることが多い。中小企業庁によると、借り入れのある中小企業のうち8割以上にのぼるそうだ。後継者のいない経営者が突然、亡くなった場合、その債務はどうなるのか。回収の見通しのたたない不良債権が大量に発生することも想定される。零細企業と取引が多い地域金融機関の経営への影響も懸念される。
◆何年か前、ある自動車メーカーの幹部が言ったことが忘れられない。「これからは2次、3次下請けの再編を考えなければならない」。後継者のいない零細企業の事業が継続するよう、M&Aの仲介を検討しなければならないというのだ。
◆かつては2次、3次下請けと直接、連携することは少なかったが、最近は一緒になって生産性や技術力の向上に取り込んでいるという。これらの下請けが廃業したら、部品の調達にも支障を来す。企業城下町の存続にも関わってくる。事業承継。一企業だけでなく、まさに地域経済の問題でもある。(鈴木禎央)