実体のある仕事と実体の無い仕事
今日は不動産業に対するイメージの悪さや、仕事をしていく中で起きる誤解の原因について考察してみようと思います。
そのテーマ、根本的な問題として、
「実体はあるが、表面には見えない仕事」
「実体は無いが、表面に見える仕事」
について考えていきたいと思います。
実体のある仕事と実体の無い仕事
はじめにここで言う実体について説明します。
言葉の通り、実体とは「本当の姿、正体。実在しているように見えるものではなく、本当に存在しているもの」という意味で使っています。
ですから、「実体のある仕事」というのは実際に行動したり、能力を使ったりしたこと、生産行動を指します。反対に「実体の無い仕事」というのは、行動や能力を使用していない仕事を指します。
表面的に見える仕事と表面的に見えない仕事
飲食店を例に取れば、表面的に見える仕事といえば接客や食事の提供、表面的に見えない仕事と言えば仕込み作業でしょうか。
消費されるまでのサイクルが短いものや、提供される商品やサービスに触れる機会や方法が直接的であればあるほど、表面的に見える仕事は多くなり、表面的に見えない仕事への理解も高まると考えています。
その点、不動産業というのは次に消費されるまでの期間やサイクルも長く、消費者は商品(不動産)には直接触れるものの、サービス(契約や交渉、仲介)には間接的に触れるばかりです。
ここでは不動産仲介を例に取り、いくつか不動産業の仕事を分類してみます。
- 不動産業における表面的に見える仕事
(賃貸)
入居者募集、入居者の物件案内、物件斡旋
オーナーとの打合せ
(売買)
購入者募集、購入希望者への物件案内、物件斡旋
販売希望者への訪問打合せ - 不動産業における表面的に見えない仕事
(賃貸、売買共に)
日々の勉強やシュミレーション
事前調査
直接的には関係しない分野への調査
こんなところでしょうか。
他にも、原価がかかっていない様に思われる不動産業界ですが、現代では莫大な広告宣伝費を支払っていますし、契約に結びつかない費用は何も返って来ません。
お客さまからすれば、接する点は案内の時と契約の時ですから「これで儲けられるなら、いいもんだなぁ」と思われても仕方がないと思います。
良い不動産屋さんは「表面的に見えない仕事」を丁寧にやっています。
けれども、マニュアルに乗せシステマティックに仕事をしていけば、表面的に見えない仕事をしなくてもお客さまにサービスを提供出来てしまいます。
そして先ほども申し上げたように「かけた費用が売上に直結しづらい」業界ですから、システマティックに試行回数を上げ、確率で売上の予測を立てていくことが、現代の不動産屋さんを運営していくことが一般的な方法なのかもしれません。
若手社員や努力をしない人間でも売上を作っていくことが出来るのでしょうが、業界の成長を考えると良くないことだと思います。
表面的、故に事件も発生
今日の日経新聞にこんな記事がありました。
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建築費200万円着服容疑、住友不元社員を逮捕。
2015/06/25 日本経済新聞 朝刊 43ページ
住宅の建築契約をした男性から預かった200万円を着服したとして、警視庁小松川署は24日、元住友不動産社員でアルバイト、大関貴宏容疑者(39)=東京都江東区大島8=を業務上横領の疑いで逮捕した。 同署は、同容疑者が同社の営業担当だった2013年8月~14年5月、同じ男性から約10回にわたり計約1500万円を受け取り、着服したとみて調べる。 逮捕容疑は13年8月下旬に、住宅の建築契約をした男性から預かった現金約200万円を横領した疑い。同署によると、容疑を認めているという。同社は14年7月に同容疑者を懲戒解雇した。
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これは極端な話、犯罪に手を染めた担当者がいけないという話ですが、◯◯手数料や、◯◯作成料、◯◯清掃代と称した、訳の分からない実体の無いサービスでお金を稼ぐ業者がいることも事実です。
これからの不動産業界、ネットサービス中心になり、お客様と不動産屋が触れる点がどんどん少なくなっていくと考えています。
その営業マンはどんな仕事をしてくれるのか?
私は不動産の仕事は表面的に見えない部分に真髄があると思っています。いい物件を持ってくるだけの不動産屋であれば、スマートフォンの方がいい仕事をします。
自分にしか出来ない仕事を突き詰める、そんな不動産屋を目指していきたいと思います。
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